読者を困惑させるために執筆された、アニヲタwikiのある記事を参考にしたホラー短編

学生時代をセピア色と表現するのは小説を書くときに素人がやりがちな表現なのらしい。その表現を借りるならこれから俺が話す体験談は血の色だと言えるかもしれない。


死体マンション

元ネタ:
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/sp/pages/26862.html



夏休みの最後の日、の一つ前日。俺はコンビニのイートインで友人と昼飯を食べながら駄弁っていた。

カップ焼きそばってさ、焼いてないけどどう思う寺西?」

寺西、ヒョロガリのメガネで所謂「見た目どおり頭がいい」的な風貌だが中身は悪童で買い食いにピンポンダッシュ、職員室のWi-Fiでエロ画像を見るなど「少年院行きにならない寸前の悪戯」は全て行ったらしい。そのイタズラへの行動力と逃げ足の速さは言うなれば野生の勘であり、知能と呼ぶには申し分が来るだろう。

「知らないよ、乾燥する前に焼いてるんじゃね。そういえばさ、デブがブラウニーとか凝った菓子食ってるシーンって見たことないよな」

寺西が俺に話しかける。共感はされないかもしれないがこんな下らない無駄話がテレビのどんなコメディーよりも面白くて、可笑しくて仕方なかった。

「そういえば、今日山口Twitter更新してねぇじゃん」

「再犯して学校に呼ばれたんじゃね?」

山口というのは中学の頃の友達で、今は隣のクラスにいる。正直隣のクラスで良かったと胸を降ろしたぐらいには鬱陶しく、どれだけ鬱陶しいかを芸能人やYouTuberで例えようとすれば数人思うかべられる程幅広く騒がしい。正直ウザい。でも周りにいれば面白いことが尽きないから俺は山口とつるんでいた。ちなみに再犯というのは山口が小学生の頃、クラスの女の子のリコーダーを舐めた事件を踏まえての言葉だ。

「どうする?LINEする?」寺西がポケットからスマホを取り出す。

そのとき丁度、LINEの通知音が流れた。この時まで、さっきまでの下らなくも微笑ましい日々が終わってしまうなんて寺西も含めて誰も予想しなかった。


直ぐに俺達は区立病院へと急いだ。区立病院の駐車場には山口の親が乗ってる赤いスポーツカーが駐められていた。山口に何があったのだろうか、俺は病院の待合で待っていた安西と会った。俺が何が起きたのか聞くと

「ねぇ、たくちゃん……落ち着いて聞いてね」
今日の朝、猛くんが血を流して家の前で倒れてたの……と安西は泣きながら答えた。幼稚園の頃から一緒に居るが人目を考えずここまで泣くのは小学生以来だった。あまりに泣き続けるので見かねた寺西が鳥のような変なキャラクターが書かれたハンカチを渡しているうちに俺はいても経っても居られなくなって階段を掛けた。

「おい拓!」
「たくちゃん!」

階段を5つ上がると廊下で派手な格好の夫婦が医師と揉めていた。何故自分の息子なのに面会拒否されるのかと問い詰めているのだと何となく察せられる。左を向くと警察官らしき人物が部屋の前で立っていた。

ちょっと!安西が追いつき俺は後ろを振り向いた。なんでいつもなんで先走るのよ、と彼女は怒っていた。そしたら何処からか「二人は山口君の友達かい?」と声がして、後ろを振り向くと刑事がいた。

「私と拓君は山口君の友達で、私は委員会の手伝いで明後日の始業式の為に女子で飾り付けとかしてました」彼女は慌てて要らないアリバイまで話してしまった。俺も仕方なく朝からカラオケ店やコンビニでWi-Fi巡りをしていたことを話したが刑事は「君たちを疑ってはいないよ」と驚いた顔で手を横に降った。軽いノリのように見えるが今思えばその顔は仮面で本当は引きつっていたと思う。

多分ヤンチャして怪我したんだと思うし山口君が落ち着いたら話を聞くからと言って刑事は山口がいる治療室の向こう側の部屋へと入っていった。

「あのシブいおっさん、警備課とか少年課の刑事じゃないな、あの手際は捜査一課だ」

階段を下ると寺西が右端に座っていた。何言ってんだよとツッコミかけるが寺西は構わず更に推理を語る。例えば銃のホルスターが妙に使い込まれている事や話し方や仕草などから敏腕であるなどと類推する。

「それにお前刑事さんに気づかなかっただろ。癖になってるんだ、音消して歩くの」寺西がオチを言い終えたところで俺達は待合へと戻ってきた。入り口の外に見知った二人がいることに気づいた。国城と森本だった。

「お前また断れなかったのかよ、刑事いるから今は行くな」

ははぁ、おそらく山口が国城を巻き込んで調子に乗って大怪我したんだな。と寺西は考えてたに違いないし俺もそう思った。国城はサッカー部のレギュラーでガタイが良いのにかなりのビビリでしかも断れない性格である。そんな彼が震えた声で呟いた。

「山口は生きてるのか」


生きてるぞ、と俺が伝えたが国城はまだ震えていた。

「でも空前の灯火だろ?」

風前の灯火よ、安西が国城に赤ペンを加える。俺はどうしてこうなったのかを聞いた。

「あいつはな、昨日の夜行ったんだよ。“死体マンション”に」



死体マンション。2000年代初頭、当時新築されたばかりのマンションで怪事件が発生した。それは“最初に核家族全員が、最終的には7世帯の住民が下腹部に致命的な傷を負って殺される”という大量猟奇殺人だった。当時、最上階に住むプログラマーの伊藤という男が被疑者として上がっていたが、警察が逮捕しようと乗り込んだ時には妻もろとも下腹部の傷が致命傷となり死亡していた。警察は犯人死亡として事件解決と発表したが。マンション住民は全員退去し、ゴーストマンションと化しているのが現状である。

この事件には少しだけ面白い余談がある。当時の高校生たち、いや今でもこの地区に住む高校生は、下半身への致命傷な傷ということでち○こを引きちぎられて殺されたのだと勘繰った。勿論女性も被害にあっているということを無視した暴論である。さらに廃マンションに潜入した歴代の先輩達は空き部屋にうねうね動くち○こを見たと報告している。それについて山口の言葉を借りるなら「まぁ先輩のDQNなんだからクスリぐらいやってたんだろ」ということで俺達はちゃんちゃら信じてなかったが。


「俺は見たんだ……最上階まで行った山口がち○こを斬られた状態で降りてきたのを……」国城は叫びながら走って逃げてしまった。



翌日、夏休み最後の日の朝。

俺と寺西、国城、森本、安西は誰かが募った訳でも無く、自分の意思であの廃マンションの前に立っていた。

寺西は両手に100円ショップとドンキの袋を持っている。袋の中のレシートは俺の片腕と同じぐらいの長さがあった。

国城は何故か安全靴と作業着でコーディネートしているが恐らく割れたガラスでち○こを斬られないように気をつけたのだろう。

森本については少し説明が遅れてしまったが、俺より一年下の後輩で熱血漢というよりは控えめだが、心に芯があり自分の意見をはっきり述べる男である。そのため“兄貴”と(からかい半分で)呼ばれ先輩からも讃えられている。また容姿端麗であり、一年生の文化祭で見せた、女性としか思えない程の美しい女装を見せたことによって以来、伝説の男という二つ名が付けられている。本人もそれが気に入っており、驚くべきことに文化祭と同じ格好で廃マンションへ挑むらしい

安西は、そのままの普段着で特に対策もしてなさそうだった。

そしてもう一人、新しい面子が加わった。名前は加藤、女優顔負けの容姿で芸能人に例えるならハワイへ修学旅行中に担任がハイジャックする荒唐無稽なドラマに出てる担任の元カノ役のT村に似ている。羨ましいことに森本の彼女である。山口にも劣らず常にハイテンションであるが不法侵入する際のTPOを守っているらしく犬が尻尾を振るみたいにスカートの端をつかんで振りながら俺の顔をニヤニヤと見ている。


廃マンションの入り口には申し訳程度の金網フェンスが一枚だけ敷かれているが、不届き者達が左の隙間から入り続けた結果剥がれかけのシールのように後ろに捲れほぼ無用の長物と化している。足のコンクリートブロックの上には飲みかけのコーラやヨーグルトドリンクの空が置かれ、DQN達の休憩スポットとなっている現状が垣間見える。

俺らが先人の道をなぞる前に寺西はビニール袋から何か取り出した。それは映画でよく見かける、砂漠を冒険するときに持っていく平たい水筒、のプラスチック版だった。

「スキットル」誰にも聞かれてないのに水筒の名前を呟く寺西。

「それと昔、ガチャガチャであったおもちゃのトランシーバー、最近見ないよな」

そしてモバイルバッテリーや暴漢撃退スプレー、盾にもなるハリセンなど奇妙なアイテムがスナック菓子や軽食の中から次々ど出てくるが、俺は恐らく役に立たないだろうと思った。

またここで集まれるのも最後かもしれないと、各自で持ってきた菓子なんかを頬張りながら駄弁った後、やっと死体マンションのフェンスを超えた。

マンションの外見は普通だが、外から見えない柵の内側は落書きで汚されている。高架下で見られるような所狭しと描かれた訳の分からないアルファベットや「バカヤローカスヤロー」の類の罵倒、巻き糞や雑なアニメキャラの絵などは勿論、時たま手間と時間を掛けて書かれただろう絵もあり、中にはステンシルで『根本ノンジ』と書かれた文脈不明の落書きがあったりしてその類のグラフィックが好きな者には堪らないかもしれない。

「最上階って……犯人が住んでた場所だよな」

話しかけられた国城がぶるりと震えた「そうだよ、俺は警察が来たときのデコイになれって頼まれて一つ下の階にいたけど、股間を抑えた山口が降りてきて……俺はあいつを家まで……」

なぜ病院に連れてかなかったのか、お前は放置したのかよ、と俺は怒鳴りかけたが森本が口を抑えた。

「山口のことだから面倒ごとにならないように、自分だけで全て受け止めようとしたんだよ」

俺に任せれば良かったのにと慎重な行動で軽率な言動をする寺西が階段の1段目で突然止まり振り返って人差し指を口に近づける。

誰かいる。と言いながらも寺西は1段づつゆっくりと上がり二階の様子を見る国城を除く全員がその後ろを追う。

「鮫嶋さん、貴方は今まで色々な事件を解決してきたじゃないですか」若い男が誰かと話していた。この後、俺と寺西が聞いたことがある声が聞こえた

「しかしだ寺門、マンションは調べ尽くしているし、その上ここ最近は不良の溜まり場になっていて現場は荒れ放題だ。この落書き天国の中で新しい証拠は出ないはずだ」昨日安西に話しかけた刑事の声だった。

「それでも、身に覚えがない罪を擦り付けられて死んだ伊藤さんが不憫だと思わないんですか!」

落ち着け、鮫島は寺門と呼ぶ同僚を宥めた。ドアを開ける音がした。鮫島の靴を脱がなくていいんだよ!という怒声が聞こえドアが閉まる。鍵が壊れているのかカチャカチャという音が微かにした。

寺西が外を見る。警備や巡回ががいた足音を消すようにマンション前の道路に車が来た瞬間に一人づつ登るよう作戦を考えていたのである。しかし俺の次の加藤がそれを無視し後の三人もそれに続いてしまった。

階段に登り最上階まであと3階で、寺西はある物を拾う。それは筋肉隆々な半裸姿の消防士のプロマイドだった。こういうカレンダーがあるのはネットニュースで見たことがあるが少し妙だったのはその消防士の顔か寺西に父に似ていたことだった。

一階上がり、またプロマイドを拾った。それは自衛隊らしき男のであり顔が見えないセミヌードだった。それは犬の毛らしきホコリの上に置かれていた。誰かのイタズラなのだろうか。

更に上がり最上階の一つ下の階へと来たとき。寺西はつい思わず声を出した。

外廊下の床一面に、プロマイドが整列していた。そのプロマイドは全て、寺西の父親の裸体だった。俺達がその不可思議な光景に足を止めていると後ろから風が吹いた。プロマイドが毛の様に解かれ飛び、一つの塊となっていった。毛の塊から血なまぐさい液体が滲み、粘土を捏ねたかのように形を変えていき人のような姿が作られる。それは顔が柴犬のボディービルダーだった。

俺は手に持った盾ハリセンで柴犬ボディービルダーに立ち向かうが左腕のブローによって弾かれた。激痛の中で俺はぶつかったドアが凹んでいるのに気づいた。

国城がヒィィと震えている中、柴犬の怪物は寺西の前へと進んだ。寺西は立ち向かおうとしても体が恐怖で震えて動けなかった。森本が柴犬を抑えようとするが人の二倍もある手で片腕を捕まれ後ろに放り投げられてしまう。

柴犬ボディービルダーは寺西のズボンをまるで紙で出来ているかのように裂き、ちんちんを引き抜いてしまった。

「……!」寺西は声にならない叫びをあげた。流血は酷く破けた衣類を赤く染め上げていた。

安西が寺西のリュックからガーゼを取り出し、森本が下腹部を抑える。怪物は廊下の外を飛び出し最上階へとよじ登った。その様子をみた加藤はパニックになりドアが半開きだった室内へと入ってしまった。安西はそれを追いかけ俺も痛みを堪え加藤の跡を追った。

加藤は居間のドアの前で立ち止まっていた。しかし加藤の目前に広がるのは廃マンションとはあるまじき光景だった。それは高校の教室だった。

「僕がね、オンラインゲームでね、見たんだけどさ」

俺の担任の秋山だった。ただ、教卓の後ろに隠れる下半身は、丸出しだった。

加藤は見えない何かに押されたかのように教室へと入ってしまう。秋山先生は加藤を見つけゆっくりと寄ってくる。俺と安西は加藤を連れ戻す為に教室へと向かう。風もないのに揺れるカーテン。生徒の体が白いシルエットになってしまうほどに明るすぎる日差しのなか端にうずくまる加藤の手を握った。


「いいか、お前ら。男はみんな変態なんだよ」迫ってきた秋山が俺の肩に触れた途端、パソコンのクラッシュのような大きなノイズが聞こえ教室がホワイトアウトする。気がつくとそこはマンションの居間だった。埃臭く、壁紙は破けており、ベランダの窓周りは黒カビに塗れていた廃マンションのそれだった。

加藤はホッとする、しかしその途端加藤の体に異変が起きた。突然下腹部に猛烈な痒みを訴えた。安西が事前に持っていた傷薬を塗るため服を腹まで捲った。加藤の腹の中心に縦長のミミズ腫れが生じておりそれは急速に膨らみ、血管が隆起さえしていた。その腫れは加藤の皮膚を破り独りでに挙立しパンという音と共に体から離れた。

体中から出血した加藤は失神した。そこで寺西を抱きかかえた国城と森本が来る。青ざめた顔の国城は血だらけの加藤を見ても早速驚かなくなっていた。

俺は加藤の身に起きたことを伝えた。意識が絶えかけているはずの寺西はリュックからある物を取り出した。ドンキで買ったトルコの岩塩だった。

これを舐めてみんな体を清めろ、と弱った声で呟き、寺西は岩塩を掴み口へと入れ眠るように気絶した。俺達は寺西の形見だと思い厳粛に岩塩を取り口へと含み、スキットルの水を飲んだ。

俺は加藤と寺西を国城に預け、救急車を呼ぶように頼んだ。俺と森本、そして安西の三人で最上階へと向うことにした。富裕層向けの最上階は4つの部屋しかなく、伊藤が住んでいたのは一番奥の部屋だという。

最上階へと上がると、雨が降った。今まで雲一つ無かった筈の空は一面雲天に変わっていた。

一つ目の部屋の前まで進むと雨は蛇口を全開にしたシャワーのように強くなった。

二つ目の部屋の前を通ると雨は血のように赤くなり。体に血飛沫が当たる。

三つ目の部屋の前に立つと。雨音が止み、血のカーテンが流れ外から完全に隔離されてしまった。

4つ目の部屋へと進もうとしたら、階段の方から大きな足音が聞こえた、これまでの惨劇によって精神を擦り減らしていた俺達は咄嗟に3つ目の部屋に入ってしまう。

玄関の前には猫がいた。床には黄色いテープが落ちている、俺は震えていた。


猫が怖い。7歳の頃、今日と同じような晴れた夏に猫に腕を引っ掻かれ高熱にうなされ、腕の痛みに苦しんだあの日を思い出す。

腕が痒い。右腕にあの時の記憶と同じ腫れが再び現れていた。腫れが裂けて膿が泡のように吹き出してくる。

正直放心状態で痛みさえ感じなかった。裂けから猫の手が、腐肉に集う蛆のように湧いてきた。猫の手はズボンに引っかかりながら落ちる。スボンの中が膨らむ。腿にも引っ掻き跡ができ同じように膿と猫の手が湧いたようだ。その膨らみは上っていき腰へ辿り着きもう手詰まりだと思ったとき、一発の銃声が聞こえた。

前を向くと猫はコンクリートのように砕けていた。横には煙を吹く拳銃を持つ手があった。


「大丈夫か!?」声をかけてくれたのは鮫島だった。後ろには山口の病室の前で立っていた警察官が、森本の手を握りながら震えていた。

「寺門何してる!」寺門は森本の手を突き放し気味で放して今度は鮫島の手を握り連れられていく。

この部屋の住民は伊藤が死ぬ2週間前に下腹部を斬られ殺害された事件現場だった。調査は終了したが遺族の要望もあり事件当時をそのまま残していたらしい。

居間を見た安西が叫んだ。被害者の親戚と考えられる老男女が、下半身を血塗れに倒れていた。

異様な光景はそれだけではなかった部屋の壁は一直線に両手を広げたよりも大きな穴が空いていた。伊藤の部屋と繋がるだろう壁はビニールシートで塞がれていた。

鮫島と寺門がビニールシートを捲ろうとするが破けず森本と俺も加勢したが何故か外せなかった。いや外したくなかった。ビニールシートの隙間見えたのは皮が剥がれた肉の突起だった。その先端には人の顔が付いて、その中には山口と寺門の顔が苦しそうに歪めていた。

鮫島はビニールシートを諦め外へ出て伊藤の部屋へと向かう。何故か俺達も付いてきて、寺門もそれをよしとしていた。血のフォンデュで覆われて外は見ることはできなかった。

伊藤の部屋を開ける。その部屋には壁が無く壁紙はめくれコンクリートが剥き出しとなっていた。家具の類は無く柱のみがそこにあった、だがその天井には、無数の乾いたち○ち○が吊るされていた。


パン、と破裂音がなった。鮫島がその音の鳴った部屋の中心へと向かった。そこには緑色のカビに覆われたソーセージの様な肉塊が、2つに避けていた。

ドアが開く音がした。無精髭を生やしホームレスらしき見すぼらしい男が入ってきたのだ。

「こんな所で何をしている!」寺門が叫んだ

「何をしてるって……お前よくも……」ホームレスがプルプル震え、持っていたカバンを落とす。カバンからは赤黒い液体とち○ち○が落ちていた。

ホームレスの体は腫れたように膨らみ、襤褸のような服に穴が空く。破けた布が床に落ちる。ホームレスの体中から細長い突起が生える。


「返せよ、俺の友達返せよ!!」

俺は勇気を振り絞って山口を襲った怪物に立ち向かった。ドアの後ろからはあの柴犬ボディービルダー、青白い痩せ細った「匈」のふんどしを着けた双子兄弟が続々と入ってくる。

鮫島が制止しようとするが俺はがむしゃらに奴等と立ち向かおうとした。





そのときだった











観覧注意

ここからは衝撃的な描写と展開を用意しています。もし結末だけを見たい場合はお手数ですがページ内検索で「二学期が始まってから」までスキップしてください。
























































後悔しないね?



















































その時だった、天井からケーブルの様な紐が降りてきた。ケーブルの先には赤いライトとボタンが付いた黒い箱と繋がっていた。

三人が天井を見上げると、そこには自分よりも少し年上の青年がカタカナの「ヒ」の様な体制で吊るさがっていた。

「QuizKnock編集長の伊沢です!」

この瞬間、天井の壁が落ち、次々と見たことある人達がケーブル伝えで現れた。

「ライターの川上です」
「ライターのこうちゃんです」
「ナイスガイ須貝です!」
「山本でーす」

この死を覚悟せざるを得ない空気感の中でよく知っているYoutuberがまるで安っぽいバラエティーの演出のような展開に頭が痛くなりそうだった。だがその後俺の脳裏に再び恐怖が戻る。しかしそれは丸腰で猛獣と立ち向かうそれではなく、例えるならスマホが突然再起動して、黒い画面にキーボードのボタンが一つだけ表示されてるような、日常でふと出会った未知への反応と似ていた。

伊沢率いるQuizKnockの設立メンバー達は、一年前の京都ロケへの帰還中のバスが行方不明になっているのだ。その1ヶ月後に廃神社でふくらPと河村が冬眠状態で発見されたが、二人はバスが突然揺れ出してから横転してからの記憶を覚えてないらしく。Youtuberなどインターネット上の事象を模範的な嫌儲民的な反応であしらうことで知られている民放でさえ、「神隠し」として連日騒いでいた。



「え、何これ!」もしこれがサイン会とかであれば川上のファンだった安西は心をキラキラしてたと思う。しかし生死を分ける瞬間にスターが現れ参戦したら正直どのような感情をすればいいのだろうか。

ホームレスだったものが俺に襲いかかる、当の俺は憧れのQuizKnockに遭遇し受かれていた。ロープに吊られる東大王軍団で始めに動いたのは須貝だった。

「エクスペクト・パトローナム!」

自分の体が淡い光に包まれる。ホームレスだったものは森本の頭を殴るが跳ねかえさら森本の頭が吹き飛ぶことはなかった。

そっちではふんどし双子が鮫島の手足を掴み四肢を引きちぎろうとする。ズボンの股下が破け刑事のイチゴパンツが見える。そういえば山口も同じパンツ持ってたな。そして山本が動く

「エア書道!」

山本が虚空に筆を動かし「凵」の字を動かす。その瞬間ふんどしの“匈”の時が“匁”となり足にTシャツを履いた間抜けな姿となりバランスを崩し鮫島は尻餅をつく。

更に山本は“、”を引く。“匁”は勹に人の字となり粉々に砕けてしまった。恐らくゴーレムを動かす魔術であるemethがmethなり崩壊するようなことが双子にも起きたのだろう。どっかで読んだことあるぞこれ。

そしてこうちゃんが柴犬ボディービルダーをあっけなくパンチして膝を付かせる。

「すっげー!やっぱ俺全身聖遺物なんだわ!」とこうちゃんははしゃいでいた。

そして伊沢がマンション中に響くような声で必殺技を叫んだ


「伊沢ビーム!!!!!!!」


















































なにこれ















































































































二学期が始まってから、俺達があの日のように集まることは少なくなった。夏休み最後の日に多くの犠牲を払ったが、怪事件を解決し、怪奇現象を起こしち○こを奪い続けたホームレスは逮捕され、俺は警察に厳重注意された。本来なら不法侵入で逮捕及び起訴されるはずだったが事件解決に協力したことと。軽罪よりも誤認逮捕への批判を受け止めるのに労力を割いていたため微罪処理といって有り難いお説教(8割は鮫島が若手時代あの事件にどう関わったのかという自分語りで残りの2割はこの事件の真相を誰にも公言しないという忠告だった)ですんだ。

山口と寺西はち○こを切られたが、偶然観光に来ていた世界的な整形外科医が治療に参加したことにより、さらに偶然友人と出会おうと病院に来ていた細胞学者の厚意によってち○こを修繕するための幹細胞を譲ってくれることになったらしい。山口はこれで童貞を卒業することができるぞーとはしゃいでいた。

そして二週間経ち、大々的にニュースになりこの事件が有名になったからなのか寺西と山口、そして同じく犠牲となった加藤に匿名の義援金およそ3億円が送られた。二学期以降始めて集まった時にその話をして、なんか都合よすぎてそれもベタすぎるから当事者であの惨劇を見てたのに俺は笑ってしまった。

おわり






あの事件から三年後、俺はあるライターと出会った。名前は福良、彼はあの事件について興味があり一年前から資料の採集や周辺住民への聞き込みをしているらしい。そして彼が俺に聞いた最初の質問は「で、貴方は誰に助けられたんですか?」だった。

俺はリモコンを手に取りテレビを消した。ニュースでは連日「山林の300人集団監禁事件」のことばっかり流している。



おわり





後書き

中学校の作文以来久し振りに書いて始めてネットに公開するSSです。この稚たない文に最後までお付き合いして頂きありがとうございます。文章のトレーニングとして書きました。これに二日間掛けました。これを読んだ方々、アニヲタwikiwiki籠りさん、死体マンションの初版作成者の皆様にお詫び申し上げます。あと本気で書いてもこの程度の文章力です。ごめんなさい。















































「で、お前この犯行なんて言うんだ?」寺門があのホームレスを取り調べている。

「正直に言うよ。俺はあの部屋で用を足してたらち○こがとれて天井に飛んだんだ。そしたら俺は天井がもっとち○こをよこせと言うのを聞いたんだ。そして空から使え切れねぇほどの硬貨が降ってきて、お金欲しさにクズのホームレス襲って天井に捧げたんだわ。そしたら俺はああいうお化けを操れるようになったんだわら、その天井の名前はアモスダイっていうんで……」

寺門は頭を抱えた。